科学がつきとめた「運のいい人」 by 中野信子 〜 まずは「自分は運がいい」と思い込むことからスタート!
こんにちは、じぇに〜(, @neobjenny neobjenny)です。
「科学がつきとめた『運のいい人』」を読んだのでご紹介。
筆者は、東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻を卒業、現在はフリーの立場で脳の研究を続けられている方。
自分は典型的な理系脳なので、科学的論拠のある話を信じるタイプ。そんな自分でも納得できる内容がふんだんに書かれてました。
運がいい、悪い、というのはどういうことか?
自分は「運がいい人」だと思いますか? それとも「運の悪い人」でしょうか?
世の中、確かに「運のいい人」っていると思いますよね。そして、誰しも「運が良くなりたい」と思っているはず。
だから、書店に行くと「運を良くする10の方法」なんてタイトルの本が山ほどあるのを見かけます。
でもどの本を読んでも大体書いてあることは「毎日、自分はツイテル!と声に出すこと」とか「夢や目標を紙に書いて目の前に貼っておく」などなど、似通ってます。
でもなぜそうすると運が良くなるのか?というのを科学的な根拠で説明した本はほとんどありません。
そもそも、運がいいいとか悪いというのはどういうことなのか? 筆者はこう書いてます。
運がいい、悪いというのは、脳がそうとらえているだけで、冷静に現象面だけを分析すれば、まったくの錯覚に過ぎない。
なぜなら選ばなかった方の結果がどうなったのかは、検証のしようがないからです。
「たまたま、いつもと違う通勤路を通ったら千円拾った」ら、運が良かった!と思いますよね。
でも、「いつもと同じ通勤路を通っていたらどうなっていたか?」は検証のしようがありません。ひょっとしたら一万円拾ってたかもしれない。
でもその自覚は無いので、「運を逃した」という実感は無いのです。
運・不運というのは、だれの身にも公平に起きていて、その運をどう生かすかを少なくとも人は主体的にかかわっていける、というのが私の考えです。
ではなぜ運のいい人と悪い人に分かれるようにみえるのか?
運がいい人というのは、だれにでも公平に降り注ぐ運をより多くキャッチできる人、また、より多くの不運を防げる人、あるいは不運を好運に変えられる人でしょう。
ありがたいですね。公平に降ってくるなら、自分の考え方や行動で「運のいい人」になれる気がします。
運がいい人と言われる人たちをよく観察すると、共通の行動パターン、物事のとらえ方、考え方などが見えてきます。
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「運がいい、ツイてる」と声に出して言うといいことも、夢や目標・欲しいモノは紙に書いて貼っておくと実現することも、他人に感謝するといいことも、その理由を科学的に説明することができるのです。
ということで、こういった行動パターンや考え方が、どうして運をつかむことに繋がるのかが、脳科学の知見を元にして理論的に解説されていました。
気になったところをいくつかまとめてみます。
世界の中心に自分をすえる
人は運のいい人になろうとして、つい自分を変える努力をしようとしがち。
経済的に恵まれている人を運が良いと考える人は、そうなろうと努力するし、健康で長生きできる人を運が良い人と考える人は、健康でいる努力をしようとする。
でも、そもそも自分を変えるというのは至難の業で、簡単にできるものではありません。なぜなら脳には人それぞれに特徴があり、それがその人の個性を作り上げているからなのだそうです。
なので、ここは視点を変えて「いまの自分を最大限に生かす」ことを考えてみる。
具体的には「短所を長所に言い換えてみる」こと。自分が持っているプラスの要素だけでなく一見マイナスに見える要素も自分の資質として生かすことを考えて見るのです。
例えば自分のことを「優柔不断なタイプ」だと思っているなら「自分は物事を深く考えて慎重に行動するタイプ」と置き換えてみる。
筆者は、これこそが運のいい人になるための絶対条件と書いてます。
そして、いまの自分を最大限に生かすということは「自分を粗末にせず、大切に扱うこと」に繋がります。
自分を大切にしている人は、他の人からも大切にされます。ということは、周囲の人と良好な関係を築くことが出来るので、人に好かれるようになれます。
結果、運がよくなるというわけです。
「自分は運がいい」と決め込む
これもよく耳にするフレーズですね。根拠なんかいらないから、まず「そう思い込む」こと。
うまくいかなかったことに対して、運がいいと思っている人は「自分の努力が足りなかった」と考えますが、運が悪いと思っている人は「自分以外の他の物事のせいで、うまくいかなかった」と考えがち。ここに努力の余地は生まれません。
運がいいと思っている人も悪いと思っている人も、遭遇している事象は似ている場合が多いのです。しかしその事象に対するとらえ方、考え方が違う。対処の方法も違う。長い年月を積み重ねれば、おのずと結果は大きく変わってくるでしょう。
何の根拠もなくても決め込んでしまうことで、プラスの自己イメージが付いてくるので、物事が成功する率も上がるという実験結果も書かれてました。
「根拠の無い自信を持つ」と言う言葉は今までにもよく耳にしましたが、運を良くするためにも必要なことなんですね。
他にも、「他人と『共に生きる』ことを目指す」や、「目標や夢を『自分なりのものさし』で決める」ということも書かれてますが、その辺については是非本書を読んでみてください。
自分の行動にどう繋げる?
本書には、運を良くするための具体的な行動案や考え方が沢山書かれてましたが、まず取り入れてみようと思ったことは次の3つ。
声に出して「自分は運がいい」と言い続ける。
声に出すことで、長期間の記憶にかかわる脳の細胞が活発に働き「自分は運がいい」ということが脳に定着しやすくなるのだそうです。
受験勉強時代も「書いて、声に出して読む」ことで定着が良くなると言われてました。
なお、定着するには少なくとも3週間は必要だそうです、がんばろ。
運のいい人のそばにいるようにする。
「ミラーニューロン」という神経細胞の仕組みで、人はいつも近くにいる人と同じ行動パターンを取ったり、考え方やモノの見方が似てくるのだそうです。
ミラーニューロン(英: Mirror neuron)とは、霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動する時と、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞である。他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように”鏡”のような反応をすることから名付けられた。(出典:Wikipedia)
ということは、いつも運のいい人のそばにいれば、自分も運がいいと思えてくるはず。錯覚でもOK。「自分は運がいい」と思い込むことがスタートなので。
それに、どうせ誰かのそばに居るのなら、イヤミや愚痴をこぼす人じゃなく、夢や未来を語る人の近くに居たいですしね。
こいついつも俺の近くにいるな、と感じたら、運がいい人だと思われてるんだと思ってください(笑)。
毎日朝晩2回、祈る。
「祈る」というとスピリチュアルな感じがしますが、そうではなく、一日のはじめと終わりに、自分を見つめて整える時間をもつことで、その日を自分の脳を成長させるために価値のある日にすることができるのだそうです。
朝は前向きな気持ちになりやすいので、「将来なりたい自分」や「成し遂げたい目標」について集中して祈る。祈るというよりも強く思いを描く、という感じでしょうか。
夜はその日一日を振り返って、朝祈ったことに対して、今日一日何が出来たかを考える。できなかったことがあれば、反省して明日出来ることを考える。
いずれにしろ常に「頭の中で意識」しておくのが大切なのだそうです。
「意識」しておくということは、自分でも大切だと思っているので、こんな記事を書いてました。
面白かったこと や 心に残ったところ
結局、運というのは、その人がもともと持っているものではなく、生まれつき決まっているものでもなく、その人の考え方と行動パターンによって変わる、といえます。
だとするなら、その人の考え方や行動パターンを決める脳そのものを「運のいい脳」にしてしまえばよいのです。
かつての研究では、人間の脳は成人になると脳細胞は増えず、減る一方だと言われてきましたが、最近の研究では、何歳になっても脳は育つことが判っているんだそうです。
還暦を迎えた自分も、まだまだ脳は育つのであれば、ジタバタしてみるのも悪くないかなと。
科学的というより医学的な見地からのお話が中心でしたが、とても面白かったです。盛りだくさんの内容なので、忘れないように時々読み返さないと、と思いました。
スピリチュアルな話はねぇ… という方にもオススメの一冊です。